車売買での契約不適合責任のタイトル

車売買での契約不適合責任

2020年4月1日に法改正が行われ、瑕疵担保責任から「契約不適合責任」に変更されました。

ネットの記事だとなんだか分かりにくいのが多かったので、簡潔に分かりやすく説明します!

りー
売却後の車は1年間保証しないとダメってホント?
まさや
実はそれは間違い!
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の法律の条文を勘違いして書いてある記事もあるから注意が必要です。

車の売主は契約不適合責任により1年間保証する、のウソ

民法では以下のように書かれています。
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
民法第566条
要は、事前に知らされていなかった車(商品)の欠陥があった場合、買主がその欠陥を見つけてから1年以内に売主に通知すれば、売主はそれを保証しなければならないということです。
しかしこの”不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知”の部分を、なぜか読み違えて「売主は売買成立後の1年以内の故障を保証する必要がある」と間違った情報を書いている記事があります。
この1年というのは保証するべき期間ではなく、あくまで買主が瑕疵(知らされていなかった欠陥)に気づいてから売主に通知しないといけない期間のことです。
例えば、引渡し時にエアコン不調に気づいたけれど、その2年後に売主にあの時車に不具合があったから保証しろといってもそれは無効というわけです。(ただし、売主がエアコン不調に気づいて売却した場合は別)
逆に、売却から5年後であっても、売却時からあった瑕疵であることが証明できれば売主は契約不適合責任を負うことになります。(例えば、メーター改ざんなど)
契約不適合責任で保証は何年か、は定められていない!売却時からあった瑕疵かどうかが大事

現実的に売主はどれだけ保証する必要があるか?

民法の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)では、売主の保証期間は定められていませんが、実際のところどれくらい保証しないといけないのかは売主・買主双方にとって気になるところかと思います。
そこで3パターンに分けてご説明します。
  1. 契約書なしの場合
  2. 契約書ありの場合(売主が個人)
  3. 契約書ありの場合(売主が販売業を営んでいる)
契約書なしはトラブルのもとですので、あまりないかもしれませんが危険性をお伝えするために解説します。

① 契約書なしの場合

まず、前提として契約書がないと、民法が適応されます。
民法では契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)とはつまり、売却の時からあった瑕疵は売主が保証しなくてはならない、ということです。
つまり、その瑕疵が売却時からあったものかどうかが争点となります。
以下、事例を表にまとめてみました。(事例にある期間は、売却時からの期間です)
事例 契約不適合責任
2週間以内の不具合 ◎ 売主にあり
2週間以内に買主がぶつけた傷 × 売主になし
1ヶ月以内の不具合 ○ ほぼ売主にあり…?
2ヶ月以内の不具合 △ 売主になし…?
1年後の不具合 × ほぼ売主になし
5年後の不具合(売却時の瑕疵と証明できれば…) ○ 売主にあり
3年後にメーター改ざん発見 ◎ 売主にあり
10年後のメーター改ざん発見 × 消滅時効

絶対にこうだとは言えませんが、だいたいこんな感じです。

売却後1ヶ月以内は売主は保証する必要あり…?それ以降は別途相談
1ヶ月以内に起きた故障というのは、もともと売却時から瑕疵があったと見なすのが一般的です。
しかし車は走れば自然消耗し、故障が起こるものです。
例えば、2000km走行した3ヶ月後に起きた不具合を売却時からあった瑕疵だと証明するのはなかなか難しいでしょう。(ただ、1年以内に通知をしなければ時効になるので、とりあえずこんな不具合が出たと報告だけでもしておいたほうでいいですが)
もちろんこれは一般的な話ですので、例外はあります。
売却後にドリフトなどの危険走行をして足回りに不具合が出たといってもそれは売主の責任ではないかと思います。
また、(証明が難しいですが)売却時に売主が瑕疵に気づいていたならばそれは1年経っていても売主が契約不適合責任を負うことになります。

② 契約書ありの場合(売主が個人)

個人間売買の場合、「現状引き渡し」つまり、売った後なんの責任も負わない、という契約を結ぶことが出来ます。
また、1ヶ月だけ保証はするがそれ以降は一切保証なしという契約も可能です。

第6条 保証等
甲は本件自動車引渡し後、1ヶ月までの間に生じた本件自動車の不具合について無償で修理又は買い戻しを行う。

第7条 契約不適合責任
甲及び乙は、前項の場合を除き、甲が契約不適合責任を負わないことを確認する。

↑その場合、契約書にこのように書きます。

Myカーメディアでは自動契約書作成ツールもあるのでぜひご利用下さい。

③ 契約書ありの場合(売主が販売業を営んでいる)

売主が中古車販売業者の場合注意が必要です。(法人、個人を問わず
個人間売買のように、「現状引き渡し」ができません
ヤフオクで、「ノークレーム・ノーリターン」「引き渡し後の不具合は保証しません」といった文言を見ますが、業者の場合事前にこういった告知をしていても、全て無効になります。
同様にあまりに短い期間しか保証しないような特約も無効です。(1週間だけ保証し、それ以降は契約不適合責任を負わないとする…など)
事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項
消費者契約法8条1項1号
車の故障のしやすさにもよるかと思いますが、一般的に、1ヶ月(最低でも3週間)は車の保証をする必要があります。
例外的に、以下の2つの要件を満たしていれば、一応契約不適合責任を負わないとの判例もあります。
  • 相場より非常に低廉(低額)に売却している
  • 買主に瑕疵がある可能性を十分に説明している
これは民法で明記されているというより、判例があっただけですので、確実とは言えませんが…相当安く売却し、事前に瑕疵がある可能性を十分説明することで売主の契約不適合責任の免除は可能であるといえます。
原審は,①商品の落札価格が同年式同車種の価格に比較すると「極めて低廉価格」であること,②出品者である被告は,入札者に注意を喚起する一定のコメントを説明文の中に折り込んでいること,③中古自動車売買の取引市場では,通常,売買当時にある程度の損傷が存在するのは当然のことであり,代金額も買受け後の修理の必要性の有無や費用を見込んで決定する取引慣習があることから,落札者・購入者である原告も本件車両の瑕疵の存在を十分予測可能であったこと等を理由として,出品者・被告の瑕疵担保責任を否定する判断を示したのである。
中古車アルファロメオ事件(東京地裁平成16年4月15日判決)
しかしこういったことはレアケースでしょう。
普通に売買されている場合は、事業者は契約不適合責任の免除はできないと考えておきましょう。

業者でもこちらの自動契約書作成ツールがあるのでぜひご利用ください。

事業者は契約不適合責任を免除できない!1ヶ月くらいは保証期間を設ける必要あり

まとめ 〜 トラブル防止のために契約書は必須

結局のところ、民法では細かいところまでは定義されていないので、契約書なしはトラブルのもと…というのがお分かりいただけたかと思います。

おさらいすると、契約不適合責任とは、「売却時にあった瑕疵かどうか」が争点であり、売却から何年以内かというのは定められていません。(一般の消滅時効は10年ですが)

ですので、売主と買主の間で保証期間を決めてしまい、それ以降は売主は責任を負わないとしたほうが、お互いのためにとっても良いです。
契約書ってなんか難しそうと思われるかも知れませんが、結構簡単です!
以下の記事も参考にしてみてください!

車売買の電子契約手順

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